〝怪しい場所〟なので、確認申請が降りるまでかなりの時間がかかっておりました『糸島の森』プロジェクト。
その家づくりが、ようやく基礎工事に入りました。
なぜ〝怪しい場所〟なのか? それは、このなんだか巨大にも見える丸い基礎の姿にもどこかで通じているお話なのです。その答えを知るヒントは「森」、「こんもり」、「手付かず」という3つのワード。
そう、この場所で家を建てるには埋蔵文化財があるかどうかを見極める必要があったのです。
埋蔵文化財!これは、魏志倭人伝に記された伊都国の最有力候補地であり古代遺跡が点在する糸島あるあるのお話です。
私が最初にこの森と出会ったときに受けた第一印象もまさに「これは、あるな!」という確信的直感で、森の真ん中辺りがこんもりと盛り上がったカタチは、な、なんと古墳そのものではないか! と、私の心の目は感じていたのでした。
しかもこの場所の地名は〝神在(かみあり)〟。読んで字の如く、ここに神在り! なんです。歩いて数分の神在神社のそばには宇宙人が運んできたのか、古代の人々が月明りを頼りに祈祷を行っていたのか、果てしなく遠大な空想を抱かせる神石(かみいし)なる巨石がデンと鎮座。
だからこそ、掘りたくない、掘りたくない、掘って円墳が出てくる瞬間を目の当たりにしたくない! と関係者の誰もが願っていたのです。そこで、敷地を掘ることなく、こんもりと盛り上がった頂点を埋めるような形で造成を行い、途中で敷地に入れる土が足りなったので土を求めて東奔西走し、ありがたくいただいた土を運んでは叩き固め、必要なだけの平坦部分を確保してベタ基礎を打つことで、おそらくはこの足元に眠っている古代遺跡に触れることなく、家を建てる算段を行って糸島市役所の埋蔵文化財課とも話をつけて、今日を迎えることができたのです、ふ〜。
というわけで、この巨大な丸い基礎が、わたしの目には円墳に見えて仕方ないのです。
見れば見るほど、まさに円墳の上に円盤状の家を建てるかのようです。とすれば、この家は古代と未来を、さらには地球と宇宙をつなげるステーションに他なりません!
基礎工事は始まったばかり。配筋工事が進んでおります。

それにしても、この円盤のような家は、なぜこのようなカタチになったのでしょうか?それはデザインをしたわたしにもわからないのです。
偶然か必然か。一つだけ間違いないのは、何者かがわたしの手を取って自由に空想の筆を走らせたのです。ということは、おお、なんということでしょうか!ここにも神在り! 神様の見えざる手が働いていたのでしょうか?

わたしの中に降りてきた宇宙ステーションのような丸いこのカタチ。と、今日のところは、まずはここまで。実は、このリトリートのような住まいは円だけではなく、もっと多様な形をもインクルード(含んで)しているのですが、そのお話は、間もなくお目にかかる棟上げのときに譲ることにいたします。
プロトハウス事務局 桑原あきら